日本やアメリカのメジャー団体で活躍してきたプロレスラーのウルティモ・ドラゴン。90年代の日本ジュニア戦線で獣神サンダー・ライガーやザ・グレート・サスケらとしのぎを削り、96年10月にジュニア8冠王座を獲得。
米国ではWCWの世界クルーザー級王者やTV王者を獲得する偉業を成し遂げ、世界最大の団体WWEでも活躍した。得意技の「ラ・ケブラーダ」は、米国では彼の本名・浅井嘉浩からとって「アサイ・ムーンサルト」と呼ばれるほどの知名度がある。
試合中の大ケガと手術ミスで左手の握力を失い一時は引退の危機に陥ったが、それを乗り越えて今も現役バリバリで活躍。また、プロレスラー育成学校「闘龍門」を主宰し、数々の人気レスラーを生み出してきた名トレーナーとしての顔もある。
世界を股にかけて活躍する彼の原点はメキシコ。身長が足らずに新日本プロレスで入門を断られた彼は、87年にメキシコに渡りプロレスラーになる夢をかなえた。メキシコではデビュー直後からメイン級の扱いを受け、スターへの階段を一気に駆け上がった。彼のファイトスタイルも、エンターテインメント色が強いメキシコのプロレス「ルチャ・リブレ」に強い影響を受けている。
そんな彼が、7日に東京・後楽園ホールで「LUCHA FIESTA2012」を開催する。この大会は「メキシコへの恩返し」をテーマに、ウルティモが過去2回にわたって企画してきたもの。今回はウルティモのデビュー25周年と重なり、特別な大会になっている。
ウルティモは「本場メキシコの大会をそのまま再現します。東京にいながらメキシコの夜を楽しめる大会にします」と意気込んでおり、試合だけでなくメキシコの伝統的な楽団様式「マリアッチ」の生演奏なども盛り込む。日米、メキシコ、そしてアメリカを忙しく往復する彼は、愛用のスマホ「Galaxy S II」を用い、世界に散らばるスタッフとの連絡を重ね、今回のイベントに備えた。
「ルチャ・リブレはレスラーと観客が一体になってこそ成立する。思いっきり野次を飛ばして、大いに笑って、ルチャを楽しんでほしい」と語るウルティモ。当日は在日メキシコ人たちも来場し、本場のヤジを再現してくれる。音楽とルチャというメキシコの国民的娯楽を通じて、同国の文化を肌で感じることができるだろう。
有名レスラーも多数参戦し、ウルティモをはじめ、ザ・グレート・サスケ、ブラック・タイガーらが出場。さらに、本場メキシコの伝説的レスラー“稲妻仮面二世”ラヨ・デ・ハリスコ Jr.の出場が決定。メキシコのメジャー団体CMLLからは、トップレスラーのウルティモ・ゲレーロが参戦する。
セミファイナルのタッグマッチに出場するCMLLのブラソ・デ・プラタは、「日本にいる親戚」だというプラソ・デ・ボノとタッグを結成。ボノは某第64代横綱にそっくりというウワサもあるが、その正体は謎に包まれている。会場に行ってからのお楽しみとなりそうだ。
親日国でありながら、あまり日本人に馴染みがないメキシコ。その文化を十分に体感できる今回の大会は、プロレスファンならずとも楽しめる興行となるだろう。(佐藤勇馬)
■参照リンク
LUCHA FIESTA2012チケット情報